まともがわからない

虚実半々くらい

マスマティックが止まらない

今の職場には理系の人が多い。

 

昨日なんぞは何人かが重回帰分析の話題で盛り上がっていて、中途半端に経済学部を卒業している私も巻き込まれそうになったが、必修の統計学の授業をテストの日だけ出席してギリギリ「可」で修了した私に語れることなど何もなく、「自分、文系なンで」とその場をエスケープした。

 

学生時代は数学は嫌いじゃなかったんだけど、授業はつまらなかったので教科書のコラムページに載っていたラマヌジャンの逸話を読んだりして時間を潰していた。

ラマヌジャンは極めて直感的な閃きで数々の定理を発見し、「魔術師」の異名を持つインドの数学者だ。32歳と言う若さで亡くなったが多くの天才的な逸話を持っており、ファンも多い。

彼は閃きから定理を発見するため、結果は合っていてもその間の証明式がわからないことが多々あったと言うのだから驚きである。

 

昨日は仕事で疲れ果てていたので、おいしいものでも食べて体を労わろうと、神保町にあるカレー屋「エチオピア」に足を運んだ。

ボンディやキッチン南海などの有名カレー店が数多く存在するカレー激戦区の神保町において、本格的過ぎず、かつ媚び過ぎてもいないのがエチオピアの好きなところだ。野菜、エビ、ビーフ、チキンなどメニューが多く、気分に応じて選択できるのもいい。

席に着くとすぐに出てくるウェルカム・ジャガイモを食べながら何気なくメニューを見ていると、カリーの辛さをお選びください、という文言の下に、「0・1倍・2倍・3倍・・・。最大70倍まで可能です。0で一般的な中辛口になります」と書かれていた。今まで気にしたことはなかったのだが、なんとなく違和感があった。普通は1倍からスタートするもんじゃないのか?

しかし、昼間ラマヌジャンのことを考えていた私はすぐ腑に落ちた。

ここはインドカレー屋だ。ゼロの概念を数学的に定義したのも7世紀のインドの数学者、ブラフマグプタだと言われている。インド人はゼロへのこだわりが半端ないのだ。一人で勝手にそう納得しているとカレーが運ばれてきた。

久しぶりに食べるビーフカレーを味わいながら、ふと後から入ってきた隣の席の男に目をやると、「線形代数」と書かれた本を広げていた。

 

マスマティックが止まらない!

 

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